活動レポート

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月間 相続ニュースコラム


月間相続ニュースコラム(11月号)

生前贈与と相続のメリット・デメリット

相続財産をスムーズに次世代に引き継ぐ方法の一つとして、生前贈与が注目されています。
しかし、生前贈与にはメリットだけでなく、税金面での注意点や手続き上のデメリットも存在します
。今月は、生前贈与と相続それぞれのメリット・デメリットについて解説します。


生前贈与のメリット
	
1.相続税の軽減
	•生前贈与を活用することで、相続時の財産総額を減らし、相続税の負担を軽減できます。
	•毎年110万円以下の贈与は「基礎控除」として非課税で贈与が可能です。
	
2.遺産分割トラブルの回避
	•生前に財産を分けることで、相続人間での遺産分割トラブルを未然に防ぐことができます。
	
3.財産の有効活用
	•贈与を受けた子どもや孫が財産を住宅購入や教育費に活用するなど、実際に役立てることが可能です。
	
4.自分の意思を反映できる
	•自分が希望する相続方法を実現しやすく、家族へのメッセージを直接伝えることができます。

生前贈与のデメリット
	
1.贈与税が発生する可能性
	•年間110万円を超える贈与には贈与税が課されます。累進課税となるため、高額の贈与には注意が必要です。
	
2.特別受益の問題
	•生前贈与が相続時に「特別受益」とみなされる場合、遺産分割の際に公平性が問題になることがあります。
	
3.生活資金の不足リスク
	•生前に多額の財産を贈与しすぎると、贈与者自身の生活資金が不足する可能性があります。
	
4.相続時精算課税制度の複雑さ
	•生前贈与を活用する場合、相続時精算課税制度を利用する選択肢がありますが、制度の仕組みが複雑であり、将来的に相続税負担が増えるリスクもあります。

相続のメリット
	
1.贈与税の心配がない
	•財産は相続時に一括して引き継ぐため、生前贈与のような贈与税は発生しません。
	
2.公平な遺産分割が可能
	•法定相続分に基づいた分割が原則となるため、全相続人が公平に遺産を受け取ることができます。
	
3.特例や控除の活用が可能
	•配偶者控除や小規模宅地等の特例など、相続税負担を軽減する制度が充実しています。

相続のデメリット

1.相続税の負担
	•財産総額が大きい場合、相続税の負担が重くなることがあります。
	
2.分割トラブルのリスク
	•遺言書がない場合、相続人間で分割協議が長引くケースがあります。
	
3.納税資金の不足
	•現金が少ない場合、不動産や株式を売却して納税資金を確保する必要があることも。



ケーススタディ:生前贈与と相続の選択

事例
Dさん(70代)は、1億円の不動産と現金を保有しており、子ども2人にスムーズに引き継ぎたいと考えています。
	•不動産を現金化して毎年110万円ずつ贈与。
	•子どもの住宅購入のタイミングで一部をまとめて贈与(相続時精算課税を利用)。
	•遺言書で不動産の引き継ぎ方を明確にし、相続時のトラブルを防ぐ。

結果
生前贈与と相続を組み合わせたことで、贈与税・相続税を最小限に抑えつつ、子どものライフイベントに応じた支援を実現しました。

月間アドバイス:生前贈与と相続のバランスを考える
	
1.税金の計算をシミュレーションする
贈与税と相続税の両方をシミュレーションし、最も効率的な方法を選択しましょう。
	
2.遺言書を作成する
生前贈与だけでなく、遺言書で相続方法を明確にしておくことがトラブル防止につながります。
	
3.専門家のサポートを活用する
弁護士や税理士、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することで、最適なプランを立てることができます。

まとめ

生前贈与と相続にはそれぞれメリット・デメリットがあり、状況に応じた活用が必要です。
この機会に、家族の将来を見据えた財産の引き継ぎ方を検討してみてください。

次号では、「1年を振り返り、相続準備を再確認するポイント」について詳しく解説します。お楽しみに!

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