活動レポート

REPORTS

2026年2月号:認知症で「銀行口座が凍結」される?施設が知っておくべきリスクと対策


突然やってくる「お金が下ろせない!」という事態

寒さが本格的になる2月。
体調の変化とともに、利用者様の認知症状が急激に進んでしまうケースを、
皆様も何度も目にしてこられたと思います。

そんな時、現場を一番困らせるのが「銀行口座の凍結」です。

ご家族から「父の物忘れがひどくなったので、銀行に相談しに行ったら
口座を止められてしまった。施設代が払えない!」

という悲鳴のような相談を受けたことはありませんか?

実は、銀行は本人の意思確認ができない(認知症などで判断能力がない)と判断すると
不正引き出し防止のために口座を凍結します。

こうなると、たとえ家族であっても1円も下ろせなくなるのが、今の日本の金融機関の厳しいルールです。
 

介護現場への「二次被害」を防ぐために

口座が凍結されると、施設側にはダイレクトに影響が及びます。

  • 利用料の引き落としが不能になる

  • おむつ代や医療費の立て替え分が精算できない

  • ご家族が「自分の貯金から払わなければ」と精神的に追い詰められ、ケアへの協力が難しくなる

こうなってから「成年後見制度」を申し立てるとなると、家庭裁判所の手続きなどで数ヶ月の時間がかかり、その間も未収金は膨らんでしまいます。
 

介護のプロが伝えたい「2つの守り方」

ご家族に「認知症が進む前に」と提案できる解決策は、主に2つあります。

  1. 「家族信託(かぞくしんたく)」という選択肢 元気なうちに、
    信頼できる家族(お子さんなど)に財産の管理権を託しておく仕組みです。
    これをしておけば、本人の判断能力がなくなっても、
    受託者(子)が施設代の支払いや自宅の売却をスムーズに行えます。
     

  2. 金融機関の「代理人指名」の確認 最近は、
    多くの銀行で「予約型代理人指名」などのサービスが始まっています。
    まだお元気なうちに、窓口で「いざという時に手続きできる家族」
    を登録しておくだけで、最悪の事態を回避できることがあります。
     

「まだ大丈夫」なうちに、そっと背中を押す

ご家族に「認知症」や「お金」の話をするのは勇気がいりますよね。
そんな時は、こう切り出してみてください。

「最近、銀行のルールが厳しくなっていて、
いざという時にお金が下ろせなくて困るご家族が増えているんです。
念のため、お元気なうちに手続きを確認しておきませんか?」

 

私たち大阪府相続支援協会は、こうした「話しにくいけれど大切なこと」を、
ご家族に分かりやすく説明するお手伝いをしています。
 

「支払いが止まってから慌てる」のではなく、
「安心してケアを続ける」ために。

今、目の前の利用者様にできる「お金の備え」を一緒に考えていきましょう。